オディロン・ルドン

動き出した電車の窓から
見えた1枚のポスターに
釘付けになった。
向かいのホームに貼られたそれは
どんどん小さくなっていく。
なんとか読み取った画家の名前は
オディロン・ルドン。
瞼の裏の闇に投影された自分の内側のような
その絵が気になり、早速帰って調べてみる。
19世紀末の印象派と同時代に活躍した
フランスの画家だった。
印象派のまばゆい光の絵画は美しいけれど、
10代の頃の私は現世肯定的な楽観主義を
どうしても受け入れられない時期があった。
今は象徴主義の内側から放つ光に静かに惹かれる。
木炭の粒子で拡げられた
光を含んだルドンの黒の世界は
自分の瞼の裏に常にあって
悲しげでコミカル。
そんなルドンも結婚を機に
光の色彩の世界も始まった。
それはさながら愛する人を想いながら見る夢の中のように美しい。
ただ素直に現実を受け止め、
外からの光に惑わされず内なる光を絶やすことなく
静かに幻想を創造したルドンのように私も人生を描きたいと思った。
オディロン・ルドン

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